2021/11/06

お知らせ&院長のブログ

総義歯(総入れ歯)の水平的咬合平面基準

 総義歯作製過程において上顎義歯のろう堤が作る面によって表現される咬合平面の決定は、機能的な面からも審美的な面からもたいへん重要なポイントになることに疑いの余地はないでしょう。これによって人工歯が排列されて咬合が決まってくるわけですから。この咬合平面ですが、前後的なラインはカンペル平面といわれる鼻下点から耳珠点を結んだラインを参考にしていますが、水平的な面はどうでしょうか?瞳孔ラインや上口唇ラインに平行になどといわれていますが、石膏模型だけが頼りだとしたら、残念ながらそれらは参考になりません。上顎最後方部の上顎結節を結んだラインが参考になると昔ベテラン技工士さんにアドバイスをいただいたことがありましたが、そもそも上顎結節自体の形態や高さが不揃いだったり石膏のトリミング次第によってもズレてきますので、それだけを頼りにしていたら大ハズレしてしまうことも多々あることでしょう。

 総義歯ろう堤を何百何千?と作っていますと、大ハズレしない平面決定基準が知らぬ間に見えてきます。それは上顎硬口蓋がつくるアーチの形態です。アーチを二等分した直線に対して垂直に交わったラインこそが平面決定基準であり、事実このラインを基準にしたろう堤での咬合平面で大きく外したことはいまだにありません。とくに顎堤の吸収状態がどうようであっても惑わされることなく作製できるので試してみてはいかがでしょうか。成書などに当然のごとく載っている事項なのかもしれませんが(汗)。