再植18年経過症例
ホームページ中の症例の一つとして挙げてありますが、初診当時52歳の患者さんです。悪いところを全部治してほしいとのことで全顎治療となりました。前歯も歯根の中の治療からやり直してかぶせ物も新しくしました。ところがその約3年後、不運にも転倒により顔をぶつけてしまい、歯が数本折れるというアクシデントに見舞われました。右上の前歯も歯根水平破折を起こしてしまい、触ると激痛の状態となってしまいました。割れた部分は取り除かないと仕方ありませんが、残った根っこは(52歳ということもあり)活かさなければなりません。ただその歯根が、骨のレベルよりも深い位置にあるため、このままではかぶせ物も入れれない状態です。そこで環境改善のため、一度歯根を抜いて、180°回転させ、元々より少し浮かせた状態で戻す「再植」処置を施しました。そして安定した時期を待ってその歯根は改めて被せ物を新製して装着となりました。
それから約18年が経過しています。歯を支えている歯根膜という靭帯は当初よりも安定しているようにX線写真上では推察できます。また経時的に見られる歯頚部付近の歯肉の退縮も、隣と比較すると、皮肉にも再植歯の方が少ないようにも見えます。たまたまかもしれませんが興味深い経過です。