2022/03/03

お知らせ&院長のブログ

下顎前歯部の経時的叢生(徐々に悪くなる歯並び)について

 歯周治療など全顎的な治療後に、メインテナンスをしながら経過観察していくと、お口の中の何気ない変化にいくつも気付かされます。下顎前歯部の歯並びが徐々に悪くなっていく変化もその一つです。よく親不知の歯が奥から前方へ押してくるので前歯の歯並びが悪くなると言われているようですが、親不知を抜いても悪くなるものは悪くなりますし、今回提示した17年経過症例(下顎前歯部を内側から見た写真)は、2008年には下顎両側大臼歯に(歯のように移動をせず)まったく動かないインプラントを使用しているにもかかわらず、その後も前歯部の歯並びのズレはどんどん進行しています。それでは歯周組織に炎症所見もないのにどうして歯並びが徐々に悪くなっていくのでしょうか?

 同じような変化が見られるものを何症例も観察していると、いくつかの共通点が見られます。その一つは両側の犬歯間距離の変化です。自分の症例においてですが全て狭くなってきています。よって後ろから押されてではなく、歯列幅が狭くなることによって前歯部が押し出され、歯並びが悪くなっているのではないかと推測している次第です。

 その犬歯の舌側傾斜の変化に関しても、観察していくといくつかの傾向があることに気付きましたが、それらに関してはもう少し確認がとれたら報告したいと思います。