総義歯(総入れ歯)の人工歯排列 〜下顎編〜
(※あくまでの私のやり方です。)
顔貌を考慮して前歯部は上顎前歯が優先としますが、臼歯部は機能や舌のバランスを考えて下顎臼歯部の位置を重要視します。上顎臼歯部を先に排列しますが、あくまで下顎臼歯部が最適な排列になるよう見越したものだということは前回書かせていただきました。
下顎前歯部に関しては、基本的に咬合接触させず被葢は浅くして前方運動時に切端咬合しやすいような位置付けにします。これは咬頭嵌合位時に上顎義歯の安定を得るためと、前歯で噛み切れるよう最終咬合調整の際に、上顎義歯が外れないよう切端時における臼歯部咬合接触作業を得やすくするためです。(元々2級傾向の強かった、あるいは3級傾向の強かったケースはできないことが多いです。)
臼歯部に関しては、計算して排列した上顎臼歯部に合わせて、咬傷が起きないよう被蓋スペースを考えて並べるだけです。提示したケースも顎堤の形態により左右対称性とは言い難い形態の義歯になりましたが、人工歯の排列位置はしっかりとパウンドラインに沿ったものになって舌房が十分確保できる形態になっています。結果的に上下顎を合わせるとバランスの取れた仕上がりになったと思われます。