骨格性Ⅲ級の総義歯(FD)
骨格性Ⅲ級の患者さんは下顎の歯列アーチが大きく、反対咬合のことが多いと思われます。そこで無歯顎となり総義歯作製となった時にデザインをどうするのか案件です。せっかく咬合再構成ができるので、正常咬合・正常被蓋に改変したいところではありますが、被蓋を上顎歯列を基準に合わせてしまいますと、臼歯部では舌房が狭く感じられてしまいますし、前歯部を無理やり被蓋改変することで上顎義歯が転覆しやすくなってしまい、義歯の安定には足枷となってしまいます。
そこで、極端なⅢ級症例に限りますが、舌房などの快適性や転覆などの安定性の問題を起こさないため、当院では臼歯は反対咬合、前歯は切端に近い反対咬合で対応するようにしています。写真にあるように前方部の顎堤のギャップ(下顎の緑ライン、上顎の青ライン)があるような症例では、それでも上顎義歯の安定は難しいと思われますので、その対応策として、後方での咬合支持を獲得できるよう下顎は16本排列にし、第一大臼歯はⅡ級関係にしています。
特殊なケースではありますが、自分で試行錯誤した結果のデザインです。経過は悪くありません。